私が東野圭吾さんの小説にはまったきっかけは、ガリレオシリーズでした。それまで小説をあまり読まなかったのですが、このシリーズに出会って、小説を読むことが好きになりました。
東野さんは大阪府立大学の電気工学科を卒業し、エンジニアとして働きながら作家としてデビューしています。私は、その工学のバックグラウンドが、科学を使って謎を解く物語にうまく生きていると感じます。文藝春秋のガリレオ特設サイトで、シリーズと著者の紹介を確認できます。
ガリレオには、短編集と長編があります。気になる1冊を入口にするのもよいですが、どこから読むか迷う方には、『探偵ガリレオ』から単行本の発売順に追うことをおすすめします。この記事では『永遠の記憶』までの本編11作を発売順に紹介し、単行本と文庫で収録内容が違う作品も整理します。
ガリレオシリーズは全11作 まずは単行本の発売順で
2026年10月7日時点で、文藝春秋が本編シリーズとして紹介しているのは11作です。最新の『永遠の記憶』も、出版社の刊行告知で第11作とされています。ここで数えるのは本編の11タイトルで、文庫化や再編集された選集を別の新作として加えてはいません。
以下は、出版社の書誌情報にある最初の単行本の発売日順です。文庫の発売順や、作中の出来事の時系列とは分けて見てください。
- 『探偵ガリレオ』 1998年5月27日
- 『予知夢』 2000年6月16日
- 『容疑者Xの献身』 2005年8月29日
- 『ガリレオの苦悩』 2008年10月24日
- 『聖女の救済』 2008年10月24日
- 『真夏の方程式』 2011年6月8日
- 『虚像の道化師』 2012年8月10日
- 『禁断の魔術』 2012年10月15日
- 『沈黙のパレード』 2018年10月11日
- 『透明な螺旋』 2021年9月3日
- 『永遠の記憶』 2026年8月5日
『ガリレオの苦悩』と『聖女の救済』は、どちらも2008年10月24日発売です。この2冊に発売日の先後はありません。上の一覧では、出版社のシリーズ紹介に沿って『ガリレオの苦悩』を先に置きました。
短編集から始まり、長編も加わっていく流れを追えるのが、この順番のよいところです。まず『探偵ガリレオ』で湯川学と刑事・草薙俊平に出会い、その後の作品へ進む読み方をすすめます。
東野さんは2026年7月23日に亡くなられました。KADOKAWAが7月27日に公表した訃報で確認できます。『永遠の記憶』は、その後の8月5日に刊行された作品です。
全11作を順番に紹介 単行本と文庫の探し方
各作品のリンクは、文藝春秋の書誌ページです。単行本を探して見つからないときにも文庫を選べるよう、両方のISBNを併記しました。書誌ページが残っていても、書店に在庫があるとは限りません。購入前に、リンク先から各書店の在庫と新品・中古の別を確かめてください。
特に『虚像の道化師』『禁断の魔術』は、単行本と文庫で収録内容が組み替えられています。すでにどちらかを持っている方は、後半で紹介する版の違いも確認すると重複を避けやすくなります。
1 『探偵ガリレオ』
最初の単行本の発売日:1998年5月27日
物理学者・湯川学と、彼に事件の相談を持ちかける草薙俊平が登場する、シリーズ最初の短編集です。不可解な現象を科学の側から考えていく5篇を収録。ガリレオの出発点を知りたい方は、この1冊からどうぞ。
- 『探偵ガリレオ』の単行本 ISBN 9784163177205
- 『探偵ガリレオ』の文庫 ISBN 9784167110079
2 『予知夢』
最初の単行本の発売日:2000年6月16日
予知夢や幽霊を思わせる出来事など、一見すると科学では説明できそうにない謎を扱う5篇。『探偵ガリレオ』に続く短編集で、湯川と草薙の組み合わせを追って読めます。
3 『容疑者Xの献身』
最初の単行本の発売日:2005年8月29日
シリーズ初の長編です。湯川と旧知の数学者・石神が登場し、ある殺人事件をめぐって物語が進みます。短編集2冊の後に、1冊を通して追う事件へ進む節目になります。
- 『容疑者Xの献身』の単行本 ISBN 9784163238609
- 『容疑者Xの献身』の文庫 ISBN 9784167110123
4 『ガリレオの苦悩』
最初の単行本の発売日:2008年10月24日
女性刑事・内海薫が原作小説に登場する短編集です。湯川に挑むような事件も含む5篇を収録。同日発売の長編『聖女の救済』とあわせて、登場人物の顔ぶれが広がる時期の作品として並べられます。
- 『ガリレオの苦悩』の単行本 ISBN 9784163276205
- 『ガリレオの苦悩』の文庫 ISBN 9784167110130
5 『聖女の救済』
最初の単行本の発売日:2008年10月24日
男性が毒殺され、疑われる妻にはアリバイがある。その難題に湯川たちが取り組む長編です。
- 『聖女の救済』の単行本 ISBN 9784163276106
- 『聖女の救済』の文庫 ISBN 9784167110147
6 『真夏の方程式』
最初の単行本の発売日:2011年6月8日
海辺の町を訪れた湯川が、少年・恭平と出会い、宿泊先で起きた事件に関わる長編です。これまでの刑事たちとの捜査に加え、湯川と少年の関わりが描かれます。
- 『真夏の方程式』の単行本 ISBN 9784163805801
- 『真夏の方程式』の文庫 ISBN 9784167110154
7 『虚像の道化師』
最初の単行本の発売日:2012年8月10日
幻聴や不可解な現象などの謎に湯川が向き合う短編集。最初の単行本は4篇で、文庫は『禁断の魔術』の単行本から3篇を加えた7篇です。同じ題名でも、収録範囲に違いがあります。
- 『虚像の道化師』の単行本 ISBN 9784163815701
- 『虚像の道化師』の文庫 ISBN 9784167903114
8 『禁断の魔術』
最初の単行本の発売日:2012年10月15日
単行本は「透視す」「曲球る」「念波る」「猛射つ」の4篇を収録。一方、文庫は「猛射つ」を大幅に加筆・改稿した長編です。湯川の教えを受けた人物と科学の使い方をめぐる物語を、文庫では長編として読むことになります。
- 『禁断の魔術』の単行本 ISBN 9784163816906
- 『禁断の魔術』の文庫 ISBN 9784167903770
9 『沈黙のパレード』
最初の単行本の発売日:2018年10月11日
行方不明だった若い女性の事件を発端に、湯川たちが新たな謎に向き合う長編です。街の人々や祭りのパレードが関わってきます。シリーズの単行本としては、前作から約6年を経て刊行されました。
- 『沈黙のパレード』の単行本 ISBN 9784163908717
- 『沈黙のパレード』の文庫 ISBN 9784167917456
10 『透明な螺旋』
最初の単行本の発売日:2021年9月3日
ある殺人事件の捜査が、湯川自身の過去にもつながっていく長編です。文庫には、本編に加えて短篇「重命る」が特別収録されています。単行本を読んだ方が文庫を検討するときは、この追加収録を確認してください。
- 『透明な螺旋』の単行本 ISBN 9784163914244
- 『透明な螺旋』の文庫 ISBN 9784167922689
11 『永遠の記憶』
最初の単行本の発売日:2026年8月5日
内海薫が刺される事件から、老人と若い女性をめぐる謎を追う第11作です。2026年10月7日時点では、下の単行本の書誌ページを確認できます。
- 『永遠の記憶』の単行本 ISBN 9784163921327
- 文庫:2026年10月7日時点で、出版社の刊行情報を確認できていません。
買う前に確認したい単行本と文庫の違い
『虚像の道化師』と『禁断の魔術』の収録内容の組み替え
この2作の文庫は、単行本をそのまま小さな判型にしたものではありません。出版社のシリーズ解説では、次のように整理されています。
- 単行本『虚像の道化師』の4篇に、単行本『禁断の魔術』の「透視す」「曲球る」「念波る」を加えたものが、文庫『虚像の道化師』の7篇。
- 単行本『禁断の魔術』の残る1篇「猛射つ」を、大幅に加筆・改稿して長編にしたものが、文庫『禁断の魔術』。
単行本『禁断の魔術』を持っていて、文庫『虚像の道化師』を買う場合は3篇が重なります。また、単行本『虚像の道化師』と文庫『禁断の魔術』だけをそろえると、その3篇は含まれません。2冊の組み合わせと目次を見てから選んでください。文庫『禁断の魔術』には大幅な加筆・改稿があるため、単行本と一字一句同じとも考えないほうがよいでしょう。
初めてこの2作をそろえるなら、文庫『虚像の道化師』、文庫『禁断の魔術』の順に選ぶと、再編集後の2冊で読み進められます。当初の単行本で刊行された形を読みたい場合は、単行本2冊を探すという選択になります。
『透明な螺旋』の文庫には短篇の追加収録がある
文庫『透明な螺旋』には「重命る」が特別収録されています。これは文庫刊行前の出版社の告知にも明記されています。文庫を新たな本編1作として数えるわけではありませんが、単行本との違いを知っておきたい箇所です。
『ガリレオの事件簿』は本編の続巻として数えない
ジュニア版の『ガリレオの事件簿1』と『ガリレオの事件簿2』は、既存の短編集から作品を選んだ本です。『ガリレオvs.メタルの魔術師』も「操縦る」「曲球る」「幻惑す」を収録したジュニア版です。
こうした本は、シリーズに触れる別の入口として選べます。ただし、本編を発売順で集めるときに12作目、13作目として加えると、読んだ作品を重ねて買うことになります。手元の本の目次と照らし合わせてください。
最初は『探偵ガリレオ』を1冊 続きは版を確かめながら
これからガリレオを読むなら、まずは『探偵ガリレオ』を1冊選び、単行本の発売順に進むことをおすすめします。最初から11冊すべてをそろえる必要はありません。次に読む本を決めたら、単行本と文庫の在庫、そして収録内容を確認して選べば大丈夫です。
古い単行本が書店で見つからない場合も、特定の店に在庫がないことと、どこでも入手できないことは別です。読み進めることを優先するなら文庫を、単行本で集めたいならISBNを手がかりに、商品写真や本の状態も確認して選んでください。
音声版を探す場合は、東野圭吾作品の音声版一覧で、言語と配信サービスを確認できます。
ガリレオは、私にとって東野圭吾さんの作品を好きになる入口であり、小説を読む楽しさを知るきっかけになったシリーズです。最初の『探偵ガリレオ』から順に追ってみたい方に、この一覧が役立てばうれしいです。

